【新ひだか】静内高校（池亀貞則校長、生徒４９９人）の３年生６人の有志メンバー「さくらいん新ひだか」と美術部員６人が地域活性化プロジェクトでみゆき通り商店街にシャッターアートを完成させた。同プロジェクトは、道内の高校生が地域活性化の取り組みを発表する道教委の「高校生　探究サミット」で最高賞の道知事賞を受賞した。

　昨年６月に同校の鴇田（ときた）あい教諭から、道教委主催の地域創生、地域課題の解決をテーマとした全道の高校生向け探究活動プロジェクト「探究活動キャンプ」の話を聞き、自分たちでできることに取り組んでみようと当時２年生の青木七瀬さん、矢野なずなさん、渡辺杏奈さん、千保彩愛さん、関口幸次郎さん、三上白斗さんの６人が集まり「さくらいん新ひだか」を結成し、活動を始めた。

　メンバーは「地域の課題とは何か」をテーマに、若者が楽しめるような地域活性化には何が必要かを考え話し合いを進め、さまざまな意見の中から「町で写真が撮れるスポットがあったらいいね」「サクラの咲かない季節でもまちを盛り上げよう」との声を採用した。

　インスタ映えを狙える写真は、観光シーズン以外でも、観光客が訪れるきっかけとなり、地域の活性化につながるのではないかと考え役場に相談。職員から「商店街のシャッターに絵を描くのはどうか」と提案され、ふるさと納税事業の運営会社「みついしょうじ」（静内吉野町１）事務所シャッター（縦約２・６㍍、横約６㍍）の活用を快く承諾してもらった。

　シャッターに描く原画は同校卒業生で札幌のイラストレーター、さやまさんに依頼。ペンキや筆などの道具を用意する資金はクラウドファンディングで募り、目標金額12万５０００円のところ、17万７０００円の応援資金が集まった。予想以上の成果にメンバーもびっくりしたという。

　アートは３月20日から作成を開始した。下書きを鉛筆で書いていくうちにシャッターのでこぼこに引っ掛かり思うようにできなかったことや、寒さで手を動かしにくくなる苦労もあったが、美術部の応援も加わり、事務所が休みの土日を使い１日８時間作業の末、４日間かけて描き上げた。完成した絵は、町のシンボル「サクラ」と「馬」を可愛らしく描き四季を表現した。

　メンバーは「描いている時に町の人から声を掛けてもらってうれしかった」「活動しているうちに新しい発見があり、町の魅力を伝えていきたいと感じるようになった」「『シャッターアートを通してオフシーズンの観光客を増やしたい』思いがあるので、今後は後輩や小中学生にも活動を繋げていきたい」と話していた。

　「さくらいん新ひだか」はシャッターアートを描き始める前日の19日に、オンラインで開かれた「高校生探究サミット」で最高賞の「北海道知事賞」を受賞した。

シャッターアートに取り組んだ有志６人と美術部員