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室蘭民報

古里知る手がかりに 室蘭出身の吉田さん、ブロートンの航海記翻訳出版【室蘭】

コロナ禍が収まったらイタリアにあるブロートンの墓参りがしたいと語る吉田さん

 室蘭出身で富山大学名誉教授の吉田俊則さん(68)=富山市在住=が、江戸時代後期に室蘭港に入港した英国軍艦「プロヴィデンス号」の船長で、噴火湾(ボルカノ・ベイ)の名付け親として知られるウィリアム・ロバート・ブロートン(1762~1821)の探検航海記を初めて日本語で翻訳。「ブロートン北太平洋航海記」(A5判332ページ)として、東洋書店新社より刊行された。吉田さんは「ブロートンは探検記の中で『噴火湾の北側の陸地ほど美しい景観をめったに見たことはない』と記した。そういう土地に住んでいるという価値を理解する手掛かりにしてほしい」と古里への思いを語った。

 吉田さんは室蘭栄高校卒業後、北大文学部に進学。同大大学院を経て1990年(平成2年)に富山大教養部助教授、97年に同大人文学部教授、2011年から同大人文学部長を務め、18年に定年退職した。専門分野はロシア史・ロシア文化論。

 市立室蘭水族館の施設内にあるプロヴィデンス号来航記念碑でブロートンのことを知り、大学院生の時に学内書庫で探検記の復刻版を見つけた。日本語訳がなかったため、「いつか室蘭に縁がある自分が翻訳してみよう」と思い、外国から復刻版を取り寄せていた。

 定年退職を機に、本格的に翻訳作業に着手。1793年にブロートンがプロヴィデンス号船長に就任してから、洞爺湖町虻田、室蘭港に立ち寄った「航海開始から中国マカオへの最初の寄港までの報告」(第1巻)。97年にマカオを出発し、宮古島沖でのプロヴィデンス号の座礁、沈没を乗り越え、スクーナー船で探検した「津軽海峡を通過した第二回北方探検と朝鮮海岸および黄海経由のマドラスへの帰還についての報告」(第2巻)を昨年末までに全て翻訳した。

 吉田さんはブロートンについて「平民から出世したたたき上げの軍人で正直な性格だったのでは。アイヌの人たちの暮らしや人間性について深い共感を持って書いている場所がある。先住民に対する見方は人間的で非常に魅力がある」と評価している。

 定価5500円。全国の書店やインターネットで発売している。

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