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室蘭空襲・艦砲射撃の悲劇「強烈な爆風に悲鳴」【室蘭】
室蘭民報 - 2017/07/14 11:36
「直径10メートルのすり鉢状の砲弾の跡が残っていた」と語る日野さん
 父親が日本製鋼所室蘭製作所で技師を務めていた日野国雄さん(81)=苫小牧市澄川町。家族とともに御前水町の中央社宅で暮らしていた。

 天沢小学校が天沢国民学校に名称が変わり、戦局が厳しさを増す1937年(昭和12年)に入学。空襲と艦砲射撃を体験するのは、遊び盛りの小学4年生の年だった。

 「当時は初等科から高等科まであり、2千人ほどが学んでいた。校舎は2階建てで中心に体育館、グラウンド側に職員室や校長室、衛生室がある管理棟があった。校舎の周りは崖だった」と振り返る。

 14日午前5時ごろ、空襲警報が鳴り、飛び起きて自宅近くの防空壕(ごう)へ。真っ黒いグラマン(米軍艦上攻撃機)が急降下して迫ってきた。「バリバリバリ」という機銃掃射の音が空気を切り裂く暗闇の中、家族とともに震えていた。

 翌15日の朝、ランドセルを背負って1人で学校へ向かっていた。校門前の長さ200メートルほどの階段に差し掛かったとき突然、空襲警報が鳴った。パニックに陥った。「家に戻ろうか、それとも学校まで走るべきか」

 そのとき、見知らぬ男性が日野さんの手をつかみ、社宅近くの防空壕に押し込んだ。「内部は薄暗くて周りがよく分からなかった」。まもなく「ドーン」という音とともに強烈な爆風。艦砲射撃の砲弾が防空壕の近くに着弾し、女性の悲鳴や子どもの泣き声が響き渡った。阿鼻(あび)叫喚だった。

 着弾のたび、防空壕の天井部分の木の板が裂けて土砂が落ち、目の前に積み重なっていった。怖くなって動けず、声も出せない。すると、1人の女性が積もった土を取り除き、救い出してくれた。「感謝で涙が止まらなかった。泥と涙で汚れた手で、何度も目をこすり、頬を拭いました」

 全身を揺さぶる恐怖の音と振動は1時間ほど続き、ようやく収まった。空襲警報が解除され、防空壕から外に出た。目の前の社宅は無残に破壊され、一部は跡形もなくなっていた。地面には直径10メートルほどはあるすり鉢状の穴。砲弾の跡だった。

 学校に行くと先生から「無期限の臨時休校になるから、疎開する人はしなさい」と言われた。「母恋側の校舎が破壊され、授業ができる状態ではないことは私たちにもすぐに分かった」

 登校中に道端に転がっているちぎれた太ももを見た友人がいた。「肉がぱんぱんに腫れ上がり、真っ白くなっていたと聞いた」。まさに地獄絵図だった。

 学校には、死体やけが人が担架に乗せられて次々と運ばれてきた。「けが人は衛生室で手当てを受けていた。ござの上に横になり、『熱いよー、苦しいよー』とうめき声を上げていた」

 「戦争を知らない人、特に若い人は、生まれたときから日本は民主主義国だった。二度と軍国主義の時代に戻さぬため、日本がかつて戦争をしたこと、室蘭で艦砲射撃があったことを、後世に伝えていく必要がある」。あの日から72年、惨禍を語り継ぐ使命感をにじませた。



 太平洋戦争末期の1945年(昭和20年)7月、室蘭は甚大な戦禍に見舞われた。きょう14日は米軍艦載機の空襲、15日には米機動部隊による艦砲射撃。400人以上が命を落とし、工場、社宅街が破壊された「地獄」の記憶を、体験者たちに語ってもらった。
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